――あのね。「ありがとう」と言われたら「どういたしまして」と応えるの。そう応えるべきなの。それは完全ではないけれど、半ば定言的な命法よ。覚えておきなさい。
[そう言われると、敢えて否定するようなことはせずに「どういたしまして」と応える。]
――……本当に貴方って空っぽなのね。私とは正反対。どう?私がどうして血塗れだったのか、気にならない?
[彼女が放った「正反対」という言葉の真意は既に察していたが、そのことについては特に言及せず、突然向けられた質問へ応える。]
聞いて欲しいの?
[質問に質問を返す形で。彼女はそれに対して満足げに]
――ええ。聞いて頂戴。私、貴方に興味が出たの。
[と。どうやら質問に質問を返したこと自体も彼女の望みにそっていたようだった。]