─回想/昔語り─
[潔癖症だと言いながらも、あの空を水面に映した綺麗な双眸を持つ友人は、随分俺とフランクに話してくれた。
共に現場で実績を積みたいと望みながらも、上層部がそれを許さず、くさった気持ちを海辺で叫ぼうとした2人が偶然出会い、同じ事をしようとしていたのを知り、意気投合したのだ]
『でも、こうも思うよ。僕達若いからってだけで遠ざけられているんじゃなく、この国の軍部の特色っていうのかな。若い才能を大事にしてくれるって、そう思う。期待されてるって、そう感じない?』
[まっすぐに俺を見つめて言い終えると、後の友人はすぐにくしゃりと笑ってみせた。
自分を鼓舞する為に言っているのだと。今は、俺にくれてやる為だと、そんな言葉から始まった友情だった]
[そんな友情劇の幕引きは、付き合いが二年になった頃に訪れた。
ようやく下った現場の任務……乗艦命令が嬉しくて、家族よりも先に彼に知らせたくて駆け込んだ友人の部屋。
そこでいつも整理整頓を忘れない友人にしては珍しくデスクの上に書類の類が散らばっていて、俺は興味が惹かれるままにそれに近づいてしまい、見てしまったのだ]