旅人 ニコラス

― レジーナの宿屋・談話室 ―

[そこには何人集まっていただろうか。
確認しようとして、談話室の窓を叩く雨粒の音が強くなってきたような気がする>>38。]

……。

[嫌な予感に襲われて、思わず眉をしかめたとき、リーザの声>>43が響いた。]

お嬢ちゃん、今は夜だ。ただでさえ暗いのに、雨が降っている最中に出ていくのは危険だよ。
だから僕も一緒に行こう。

[本当は”宿屋で待っていて”と提案するのが、成人男性として正しい説得なのかもしれない。
けれども、何かをしていなければ、体を動かしていなければ、気持ちが落ち着かない瞬間は確かに存在して、宿屋の看板娘もひょっとしたらそれなのかもしれないと考えたら、無下に提案を否定することは避けたかった。

それから急いで外に出る対策を一緒に整える。*]