[ 平時と比べれば、
聊か饒舌であったのには
そのせいもあっただろう。
頑なに閉め続けて来た
蓋が勢いよく開いたときのように
潜めた声で一頻り話をして。
そうして絞り出した
ささやかな願望は否定されることはなく。
…けれど、確かな肯定を得るでもない。
逸らされた視線>>75は追わず、
緩やかな風に目を細め画家は空を見上げる。
遠くに聞こえる街の喧騒も、
王宮内独特の静けさも変わりはないのに。
明け方を迎える前の仄暗い未明のように
空の色すらどこか翳って見えるような気がした。 ]
…生きるべきか、死ぬべきか。
果たして真に平穏を得られるのはどちらか。
この国の行く末は誰も知らない――だからこそ。