― 古の記憶 ―
[花神は、元はといえば、池に棲む古き水の神に捧げられた供花の化身…か弱い花精だった]
[水神と共に在るうちに、その力の影響を受け、咲き誇る蓮花の美しさに、花そのものを神の化身として祈り捧げる者が増え、花精はその力を蓄えていった、が]
[数千年前の氷華の支配の時代『永き冬の時代』と呼ばれる千年の始めに、水神はこの世界より姿を消した。王華の選に破れた故か、それとも冬の時代に嫌気が指して異界へと身を移しでもしたか、その理由は判らず、花精はただ取り残された。
千年の白き闇の中、凍てついた湖の中で花咲くことも叶わず、徐々に蓄えた力も削られて]