− 廊下 −[走っているレトの姿に気付いたのは、からかう相手を探しにぶらぶらと歩き始めてどれくらい経った頃だったか。その姿を遠目に収めれば男は翡翠の目を細め、足音を殺して彼の進路に回り込む。横合いの壁に隠れてやり過ごし、背後から…という手筈だ。真っ直ぐなレトの反応は面白い。彼が入隊してからというもの、気がつけばからかう対象は彼が多くなっていた。]