[ノーラと名乗った男は、その後どのくらい滞在していたのだったか。もし行き倒れを助けた恩を返したいと言うならば、畑仕事を手伝ってもらったことだろう。「この品種はねぇ、こまめに手入れしないと駄目なお嬢様でさぁ…」などと嬉々として解説する男というおまけつきで。] いやぁ元気になってよーかったよぉ。 まーた、どこかで会えたら楽しいねぇ。 それじゃぁ。[諸国を回っているという──地に足をつけた生活を送る自分とは間逆の青年の、旅の無事を祈って別れたのだった。*]