―― 回想 / 第二エリア・ホテル ――
[バスルームから這い出してきたのは、起きてから数十分は経った頃だったろうか。
紙のようだった顔色には、少しばかり赤みがさしている。
酒の匂いはシャワーで洗い落とし、服を替え、そういえば昨日のコートをなんとか……と、床に脱ぎ捨ててあったそれに歩み寄る。
クリーニング屋くらいあるだろう。
丸めて袋に入れようとしたところで、ポケットに何か入れていたかと中を探り]
……ん?
[一枚の固い紙切れが、指に当たった。
取りだしてみるが、心当たりがない。
物は溜め込まずを旨としている彼は、覚えのない紙切れをそのまま屑籠に放り込もうとするが。
なんとはなしに気になって、じっと見直した]