好きに争われると良いのです。
その方が、私も動きやすくなろうというもの。
[くすくすと、尾を引く笑い声を響かせて。
ゆるりと一歩を踏み出した。
羽ばたきもしないのに、その身は重力がない者のように、石像から緩やかに落下する。
音を立てず、舞い落ちる羽じみた動きで地面につま先をつけた。
身に纏うローブの裾が、ふわりと揺れる]
白き翼を抱きし者達よ。
自らの驕りを悔いるが良い。
[囁きは、誰の耳にも届かずに風に散る。
天使の姿を取りながら、天使とは異なる者が、その悪意でもって、清らかな庭園に一点の曇りを落とした]