[ ─ 先日の事 ─
王宮内でも人気の少ないだろう所を歩いていた頃だ。
同業者がやってきた事に気が付いて俺は足を止めた。]
… 血腥い話は嫌いだと、
流石に同業者なら知っているだろうに。
[すん、と、風が届けた鉄華の移り香を嗅ぐ仕草だけを大仰にしてみせてから、露骨に表情を顰めた。
まさか、目下渦中の第一王子自身が命じたものに殉じて遂行してきたなど。>>2:162
そんな事が想像できるだろうか。]
手伝え? 血腥いのは嫌だと言っただろ。
… は、偽装工作か筋書きを考えろ、な。
まあ状況を聞かせてくれよ、考える。
[黙ったまま、俺は両の目を眇めた。]