初めまして、と口にする。
ユーリエは心の中で初めましてではないのよ、と思う。想う。
『ええ、初めまして? アリーセ。そして今から貴女は私の友よ』
初めましてと告げた直後に、友、と呼ぶ。
ユーリエのことをどう思ったかは預かり知れない。
ユーリエが朋友と呼ぶ、アリーセは歪とともに記憶の欠片を失ってしまったようだった。
同じ姿でいたわけではないユーリエだが、アリーセが見破れぬ筈がない。
黄金比を湛えるように清らかで美しかったアリーセは、歪みに堕ちたことで麗しくなった。
完璧な美しさよりも、一層清廉されているとユーリエは思う。
その折に勝負に敗北したアリーセに猫耳を要求したのは
――…貴女の昔のことを知っているのよ。>>2:71
遠回しに、伝えたかったのか。思いだして欲しかったのか。
今のユーリエには、もうわからない。