―→洗面ルーム―
[洗面ルームへ向かう途中、少しずつ落ち着いてきた男はブツブツと呟くように語り始めた。]
オレ、とある惑星にあるアナログ時計の時計師の息子として生まれて。
貧乏ってほど貧乏じゃなかったけど、金がある、ってわけでもなくて……。
[口から出るのは、気を紛らわせる為の身の上話。]
……でも本当は生物学の方に進みたかったんです。
だから生物学の論文とか色々読み漁ったんだけど……。
金が無かったから結局、学舎に進学はできなくて……。
[ぽつりポツリと続く言葉は、果たしてどれ程ハダリーに届いていたか。]
そのまま時計屋を継ごうとしたんです。
でもそれだけじゃ食っていけなかったから……。
オレ、昔から手先が器用だったから、物の修理とか得意で。
じゃあそれ活かして食っていこうとした。
[何を語っているんだろう。そう思っても口は止まらず。]