[戦いはあっけなかった。レトとの血の繋がりが織りなす網に捕えられ、バランはこの場に足止めされている。繋がりが呼ぶままにレトを襲うか、心臓を奪って力を増す欲望に従うか。その僅かな混乱で十分だった。] ───![気合の声もなく距離を詰め、鋭く速く右手を打ち込む。籠手と一体化した黒い刃は一本の太い穂先となって、バランの体の中心を貫いた。刃の先でバランの心臓が裂かれ、潰える。一拍遅れてバランの体が灰となって崩れ、その灰さえも空中で燃え上がり、消失した。]**