――見張りと共に――
[誰がどの情報を確定的だと判断したかは不明だが、サシャが最重要容疑者として通達されたのは、まだ夜が来る前だった。>>85
新しくここに配属されたサシャには親しい人もさほどおらず、再捜査を強く主張してくる者はいないようだった。
同室者も「寝ていて知らない」という証言であったし>>86、彼女の潔白を証明するような証言はない。
殺さず済むならば殺さないように、とはおおむねの共通理解でもあったが、僅かな油断が命取りになることは全員承知しており、武器の再点検が行われていた。]
……そうだ、逃げたんだったな。
[今さら過去を思い出す。>>0:7
あの時も同じ顔の少女をカスパルは糾弾した。
彼女を信じている人に疑いを投げかけ、少しずつ疑心を広げさせ、彼女が何も弁明できないのを良いことに犯人だと主張した。
これが運命ならば哀れなことだ。
だが、謝罪をするつもりは毛頭ない。]