[ 覚悟は決めていた筈だった。
誰と溝を作ろうと構わないと
……そう、決めていた筈だったのに。
無自覚を装いながらも、
自分が高々齢二十数年の小娘だと思い知る。
飄々とした常の笑みが見えないだけで>>74
此れほどまでに不安を抱いているのだから。 ]
一つの楔で保たれていた城が瓦解するのは容易い。
楔を引き抜いてやればいいんだからね。
代わりに次の楔を埋められる人間がいなければ、
城の崩壊を誰しもがただ眺めるばかりとなる…。
あるいは城の崩壊に飲まれて殉じるか。
きっと近いうちに争いが起きる。
ボクはその時の為に備えているだけ…
……まだ、今はね。
[ 誰かと国の未来について語らうなんて
一向に考えたこともなかった。
一介の画家に政などわかるまいと
軽んじている人間の多いこと。>>0:146
ローレルにとってもその方が都合がよかった故に
特別関心のある素振りはしてこなかった。 ]