[訥々と語られる言葉たちは、意味が取りづらいものではあったが。
その声音や表情に窺えるものは、混乱とは違うように思えたので。
語られたその言葉を、静かにかみ砕く。
あまり上手に理解できたとは思えないが、この状況か、あるいは『ひと』か……何かを、感じ取っているように、聞こえる]
濁ってる……か。
[今はもう星の見えない歪んだ黒の闇に、ぽっかりと浮かんでいるであろう、銀の羊を想像する。
最先端の技術を駆使して作られていると聞いたソレが、決して堅牢な城ではなく、頼りない泡のようにも、玩具の船のようにもふと感じられ。
いや、違うな。そのどちらでもない。
ただの――『非常事態が発生した船』それだけだ。]