けれど、村の人々の命を奪ったのは、襲撃者達の手だけではありません。自らの命を繋ぐために、他者を押しのけて逃げた者がいました。同じ村人を生贄に捧げて、自分達だけは助けてくれと懇願する者も。[記憶を手繰るように語りながら、痛ましげにそっと瞳を伏せた。浮かべる表情は偽りだが、語る内容は真実だ。記憶の底に沈む断片。遥か昔に、この目で見届けた惨事]