慈 しみ の 念 は 聖 なる 光
その 身 癒 す 力 たらん
[追撃の無い隙に簡易の治癒魔法を傷口へとかけた。
しかし深すぎる傷は完治には程遠く、辛うじて命の源が零れるのを押し止めるだけとなる。
呪の完成と共に、懐にあった薄桜の結晶が1つ、砕け散った]
なに を───
[男に目もくれず、男の鮮血を方々に飛び散らせる襲撃者。
その口からは儀式めいた言葉が紡がれ行く。
次々に砕け行く古の結晶はその力を減じていた。
”鍵”……”門”……封印。
襲撃者の狙いが頭を過ぎる]
まさか───…止めろ!!
[叫びも空しく、最後の結晶が男の血により砕け散った]