─ またとある日の執務室 ─
[ それは良く晴れたある日のこと
ふわり 魂は懐かしい王宮を彷徨って
あたしは死んでしまってから
どうやら生命の動きに敏感になったみたい
視界のすみに とく とく と
小さく鼓動するいのちをみつけた。 ]
(あれは………?)
[ あれは執務室だっただろうか
リヒャルト尚書官長補佐がよく訪れていた──
ちいさないのちは執務室のすみっこで
どこか心細そうに ちらり ちらり。 ]
(ああ、待っているんだ)
[ あたしは、彼の胸の中から聞こえた
ちいさなちいさな騎士の鳴き声を思い出す。 ]