[その中心たる盟主は、傭兵たちのただなかへ馬を飛びこませていた。左手に握った刃が鋭い軌跡を描き、血の幕を引く。振り上げられた切っ先が服を肌を掠めるのに任せ、代わりにとばかりに相手の得物持つ手を斬りつける。月毛の馬さえも、蹄を振り上げて人間たちを蹴りつけようとした。盟主を守れ、仲間を助けろと声が上がる。なだれ込んできた民兵たちが必死に武器を振るう。死の恐怖を、今は高揚が押し流しているのだ。]