[ウルムは、宇宙連邦に加盟して比較的日が浅い惑星だった。
地域によって寒暖の差が余りにも激しく、居住可能範囲が狭く、資源にも乏しい。
莫大な財を投じてテラ・フォーミングを行ってなお見返りがあったであろう、ネオ・カナン等と比すまでもない。
辺境の宙にひっそりと浮かぶ、小さな白い惑星。
その地には、古くから自然に溶け込み暮らす、知的生命体の一種族が暮らしていた。
その姿は“ルー”と似通う所もあるが、人の姿にも近く、星のように穏やかな目の生き物。
かつて地球に置いて、地域間の疫病の移動によって免疫の獲得が進み、安定した人工達成を獲得する――それと似た、時により激しいプロセスは異星間交流や、未知の惑星の開拓には往々にして起こり得る。
身体の構造や形態が大きく異なる異種族間にあっては、互いの接触自体が命取りとなる事例も報告されている。]