二度と行くなとは言わんが、次からは、俺かトールと一緒にしろ。
いくら有能な精霊師だと言っても、娘1人で気軽に出掛けられる場所だと、うっかり目撃した者に認識されては困る。
俺なら元々規格外の無謀者と見られているし、天霊湖の調査は継続すると公言している。
トールは俺の近衛だからな、どちらかと一緒なら、不自然ではなかろう。
[ そのトールが、主を置き去りにして結構頻繁に出掛けて行っているのも、公子としては、若干物申したい事案ではあるのだが、そこはこの際置いておいた ]
あの場所に、少々の風通しと変化が必要だとは、俺も思う。
だが、それは時間をかけて慎重に行わねばならないことだ。
お前が、彼の地に在る者達を気にかけているのは知っているが......彼等の為にも、今は自重しろ。
[ いつかこの先、国を離れることになれば、必然的に残るこの娘に、護りの要は託すことになるのだけれど、今はまだ、その時期ではない、と公子は思っている ]