[体質柄、メディカルチェックの回数は他の乗務員より多く義務付けられている。
検査っつったら医務室だろ、と、検査室に関する注意事項も読まずに医務室の扉を叩いた最初のときは、その事務室然とした様子に目を丸くしたものだ。
けれど、それはそれで物珍しかったものだから、暫くの間居座って、その場にいた医者に話しかけてしまった。
よく考えれば――いや、よく考えずとも、仕事の邪魔だったかもしれない。
養父が軍医であったから、医者という職業の者が減り続ける昨今であっても、その職にある者に尊敬と親しみはあって。
にこにこと、人懐っこい表情で、こんなことも言った。]
『センセイ、ひとりで部屋に閉じこもって仕事とか、
疲れてこない?
書類チェックも大変でしょ。
ゆっくり外に出て日焼けでもした方がいいよ。
な、今度第二エリアに飯でも食いに行かないか?』