[続けざまにかけられた問い>>465にテオドールが口籠れば、気まずくなったのか彼も口を噤んだ。
ディークが今までどんな生活をしてきたのか、テオドールは知らない。
だけど、彼のおおよその年齢を知れば、劣悪な環境であったであろうことは予想がつく。
別に、哀れむわけではない。
その劣悪な環境を、テオドールは想像しきれないし、共感してやることも出来ない。さらに言えば、同情すら難しいかもしれない。]
[人は、テオドールの歩んだ数年を、不幸だと言うだろう。
だけど、彼の本当に不幸な部分はそこではなく。風習と伝承に絡めとられた、その生そのものである。]
[かの子供は祝福された。]
[かの子供は選ばれた。]
[それは太陽への贄であり、]
[誇り高き騎士である。]
[あの太陽は私たちを守ってくれる。]
[だけど、守ってくれるだけで、護ってはくれない。]
[護るのは、私たちの仕事だよ。]
[その言葉の意味を、理解して。]
[あの頃は、まだわからなかった。]