――あれ?
[見える。
ぼんやりとした膜でしかなかった大地の魔力の流れが、はっきりと。
それはアイリの魔力がより高められているからか、彼の意志が魔力にも乗っているからか。
それとも――魔力と攻撃の流れを読むことに、こちらの目が慣れたからだろうか?]
[アイリの両手両足の動きを追うように、自身も戦鎚を、脚を動かし捌こうと試みる。
時には重過ぎる戦鎚から手を離し、生身の腕で防御することもあっただろう。
そして――ついに疲弊し、僅かに鈍り始めたアイリの動きへ、こちらの手が追いつく時が来る]
[ばしん。
快音と共に、男の大きな右手が、アイリの拳を包み込むように受け止めた*]