[今まさにこちらへ追い付き、齧りつかんとその顎を開けていた狼の口中に、刃は過たず放たれた。 しかしその瞬間に狼の頭部は霧散し、そして復活する] うお……っ[現れた狼の牙はその勢いを殺していない。 惚けていれば確実に、右手が上下の牙に挟まれる] くっ![溜めていた水の気を暴発させ、強引に右手を口中から弾き出す。 自身の力とはいえ少なからぬ衝撃を受けたが、狼を幾らか怯ませる効果はあったようで、痛み分けといったところか*]