……。
[>>30芳しき蜜と言われても喜色を浮かべる事はなく、眉尻を跳ね上げたのみに留めた。
卑下する意図で紡いだ心算はなかったが、ある意味では的を射ていると言えた。
父親よりも母親の印象を色濃く残す外見は、胤の主を疑わせる要因となった故に。
首筋に噛み跡さえなければ、人間に暴行されたと判じられても可笑しくなかった。
騎士は主に従い、民を護る者。
化生の喉を潤したかもしれない血液が尊くあってはならない。
その主がか弱き存在であったとしても。
──血液は彼らの糧となるのだから。]
……は、
[可哀想。
そう評された事には吐息に怒気を忍ばせて。]