[ 噛み締めた唇は、動かすごとに鈍く痛む
それでも、言葉を紡ぐのは
失ったものの手がかりを探しているから。
ぽつり、呟かれた声を拾ったなら>>87
頷く代わりに、ゆっくりと瞬きひとつ]
―――私は、神の手足 ですから
手足が何かを思う必要は
きっと……ない、でしょう?
何かを特別に思い、愛するのは
手足の主である、神だけ それでいい
神の愛を説くというのは、そういうものだと……
[ 彼の質問に答えているはずなのに
さながら、自問自答しているようだと思う。
仲間のうちには、人と深く関わりを持つ者もいるとは知っている
それ自体、間違っているとは思わない。
けれど何かに情を注いでなお、今を保てる強さなど
自分にはないと思っていたから]