― スラム街 ―
[ 狼の匂いに気を取られる前、どこまでも素直なアイリの物言いと、問いかけに>>80くつりと笑う ]
面白いな、お前は。
[ この世界に新種として産まれ、厄介な連中に追われる性を嘆きながらも、他者の幸福を願うなどと口にする娘。
恐らくあの狐にずっと護られてきたのだろう。
いや、或いは、だからこその従者か ]
生憎と、俺は自分の退屈しのぎを探すのに手一杯だ。他人のことにかまけてる暇はない。
[ 返した言葉は、矛盾だらけに聞こえたろう。けれど、男にとっては、紛れも無い真実だ。
その能力故に、この危険に満ちた世界に在りながら滅多に死ぬ事の無い男を、最後に殺すのは「退屈」だろうから ]