[店の横を通り過ぎ、展望スペースに向かおうとした足は、気儘に踵を返して廊下の方へ。
視界の片隅に、ちらりと過る白いものが見えたような気がしたから。>>37
船内を巡回するガーディアン・システム。
白いもふ。もふもふのもふ。
この船への配属が叶い、設備の紹介と相成った時、白と茶色の毛玉が目の前にふわりと現れるのを見て、彼はこれ以上はないといったほどに目を輝かせた。
全体ミーティングでバカ丸出しの質問をしてからというもの>>11 、船内で彼らを見かけるごとに、駆けよっては抱き上げてもふもふともふっている。
ぱたぱたと足音を立てながら駆け寄れば、歌声が聞こえた。]
よぉ、スノウ! 今日も白いな、そして可愛いな!!
今日も巡回か、さっきまで俺もやってた。
怪しい奴はいなかったよ。
いまの歌、お前さんが歌ってたのかい?
[童謡のような懐かし気な響きは、彼には聞いたことがないものだ。
ふわふわのもふもふをひょいと抱き上げて、後ろ首からはじめて首の下へ。
白い毛並みをもふる、もふる。
ちりん、と鳴る鈴の音に目を細めた。
なお、鼻に詰め物しながら猫を抱き上げて満面の笑顔になってる警備員さんは怪しさこの上ありません。
しばらくもふもふを堪能してから、そっと床に下ろす。
仕事おつかれさん、またな、と名残惜しそうに手を振って、そのまま通路を歩いてゆく。
スノウを見つけたら、ラヴィの顔も見たくなった。
第二エリアに行ってみようか――ああ、それなら、と、思い出したのは白と銀の姿。>>33 ]