[ヤコブとペーターの会話を聞きながら、ゲルトが冬眠の準備と聞くと軽く噴出した。さすが楽天家とあだ名されるだけあると。
勤勉とは言いがたいが、村人に愛されているのも、大らかで明るく、誰にでも話しかける人懐こい性格の賜物だと思っている。因みに自分が始めて村を訪れたとき、宿屋まで案内してくれたのもゲルトだったなと五年前を懐かしく思い出した。]
……そういえば、ヤコブ。
[なるべくさりげない様子で、肩を軽く回しながら話しかける。]
最近冷えてきたせいか、力仕事をした直後は体の節々が調子悪くてね。俺も遂に年を取ったか?って結構ショックでかいんだが、レジーナさんに言わせると、近頃冬季に村を離れる人が増えてきたから、一人当たりの負担が増えているんじゃないか?だそうだ。
でも宿屋の温泉につかると、翌日凄く楽だ。あれは助かるぞ。
[三年前ヤコブの身に何が起きたか知る術はないし、本人も積極的に話そうとしない。故に極力それに結びつくような単語は口にしないよう気をつけながら、さりげなく肩を休める方法を口にした。
但し実際にどうするかは本人に任せなので、強要する気は全くない。]