[―― 実際はと言えば。男が戦場で油断した事など、一度たりともなかった。ただ、あの時は。幾度となく見てきた筈の友人たちの死に、一瞬、ほんの一瞬だけ気を取られてしまっただけ。その一瞬が、男の足を貫いた。] 随分と前の話だ。[そう、足をやられたのは半年以上も前の事。あの時はまだ、『足を動かす事はできた』。]