其方らも、竜郷には戻らぬのであろう。それで、儂から其方らに貰って欲しいものがあるのじゃ。[そう言うと、ぷつり、鋭く変じた爪を左手の小指の腹に立てて、一つ、二つ、三つの赤い雫を落とす。その雫に息を吹きかけると、短く細い鎖のついた、小さな紅石の飾りと変わって]其方らが話をしたいと思った時、これを通じれば互いと言葉を交わせる。竜郷の外では座など何の意味も持たぬであろうが、それでも上に在った者として其方らに示せる事もあるかもしれぬ故。