― 魔将天幕 ―
[さてシメオン自身はといえば天幕へと戻り、僕をその場に呼びつけた。もう十分に休息時間も得ただろう。無論足りてようと足りていまいと、必要とあらばいつでも呼びつけるのだが。]
アイリ、行くよ。
[現れた僕にかけた声は軽い。
魔は常の様子で、ただ傍らに死した女>>41を伴っていた。
今回はどうやら、連れていくことにしたらしい。一人だ。
女にはフードを深く被せてあるから、人と見えないこともない。]
じきに雑兵どもが進軍を始める。
[既に陣営の内外で、骨を吹き鳴らす音も響きだしている。
闇の者らの出陣の合図だ。]