― 春日大社 ―[隣を歩く兄に肩を預け、腕を絡めてゆっくりと歩く。疲れて脚の進まなくなった時に、兄の腕に頼るのは、幼い頃に染み着いた仕草。無意識に唇をなぞり、未だ残る感触を覚え込んでいると、声一つなかった時間を、予習はしたのか。と日常めいた問いが区切る>>84] ………? 春日大社――……、ああ。[不審がり見上げた瞳を、彼から鳥居へ緩慢に移して] 着いたんだ?もう。[再び横顔を見遣ると、答えにならない呟きを返した*]