― 翠の記憶 ―[握られた手は、それはそれはあったかくて柔らかくてすべすべで、握りつぶしてしまいやしないかとどきどきしながら少し、ほんの少しきゅっと力を入れた。彼女のお月さまみたいな目を見て笑って、それから一緒に声を揃えて歌った。 異国の地の旋律は、 彼女と声を合わせたメロディは、 とても大きくて、広くて、高くて、 空に向かって飛び立つ鳥のような歌だった。時間なんて忘れて、他にもいくつも歌を歌って、もっともっとたくさん、一緒に歌えることが嬉しくて、]