……邪魔されるのは、あまり愉快な気分ではありませんね。
[魔力が不十分な状態で、4体を一気に相手するのは避けたい。
形状が霧のあのディアボロス相手に、物理攻撃が通用するとは考えにくい。
とはいえ、セルウィンの魔法は発動中に無防備になる以上、単独で行動しているときに行使するのにはためらいがある。
じり、と後退しながら横目に見遣るのは、この村には珍しい洋風の住宅だ。
少なくとも、毒霧のディアボロスは機敏そうには見えない。
このままだだっぴろい道の真ん中で応戦するよりかは、障害物の多い建物の敷地の方が多少なりとも有利なのではないだろうか。
判断を下すと、セルウィンは鉄柵を飛び越えて庭の中に侵入した。
白薔薇の咲く、表札に“来島”と書かれたそこ>>70は、記憶が正しければいくつか年上の先輩の家だったはずである。
まさか、当の本人を勇者と呼ばわっていたとも知らず、ヴァイオリンの弓を握りしめた]
さぁ、僕と楽しく遊びましょうか!
[声を張り、毒霧のディアボロス達と対峙する。
その声は、家の住人に届いたろうか――?]