― 陣営内 ―
[ 魔軍の本領が夜の闇の中であることは、さすがに忘れられてはいなかった。
兵達は、出来るだけ日の在るうちに治療や休息を取るようにと指示され、日暮れ前には、川岸から鳥使い達は引き上げて、休息を取った歩兵達が入れ替わり、投石機を積んだ馬車が砦から援軍として陣営まで到着する。
前線への配備が遅れたのは、火計の準備に手を取られ、更に備蓄の油も使い果たしたせいで、投石機と一緒に、荷馬車には改めてかき集められた油の樽が大量に積まれている。
ここに放火されたら、辺りが火の海となるのは必至だったが、その危険は、やはり誰も考えついてはいなかった ]