( つまみ食いしようとして、よく挑戦したっけなあ )[十五年から十年――もうそのくらい前のことになるのか。あの船にいた頃のことを思い出す。食糧庫やら食堂で、当時の自分より縦も横もずっと大きかったその背中が甘味を楽しんでいるのを、後ろからこっそり忍び寄っては一切れ奪い取ろうとしたものだ。しゅしゅっと、ニンジャのごとく。甘いものが好きだったというよりは、どちらかというと、そうして悪戯を仕掛けて構ってもらおうとすることの方が目的だったような気もするけれど。]