[ 間も無く撤退を告げる角笛と伝令が届き、両軍が引き上げ態勢に入った時、ナイジェルは、単騎でティルカンの陣へと近づいて行った。 ]
『軍団長!?』
来るな。すぐに済む。
[ 慌てて後を追おうとする副官に言い置いて、声の届く位置まで近づく。 ]
私はマルール軍軍団長ナイジェル・ソン・ベルク!
ナネッテ・マドゥーラ殿にお願いがあります。
[ 用向きを問われたなら、バイザーを上げ、素顔を晒してから胸に手を当て、騎士の礼をとる。 ]
この後、戦の帰趨が如何なることになるか、分かりませんが、いずれ、機会が巡りましたら、是非、お手合わせを願います。
[ 以前に彼女の教え子であるクリフへ向けたと同じ願い。さて、その願いには、どんな返答が返ったか。
ナイジェル自身は、帰陣した後、ノーラが存命しているらしいと知らされれば、「早まりましたかね?」と、苦笑することになるのだが。* ]