[舟橋の上から流された兵は、濁流の中で障害物に襲われながら下流へと流されていく。
今は《ウル》を服用しているため致命傷とはなり得ないが、流された先で効果が切れたなら、川面に浮くことになるだろう。
辛うじて軽傷で済んだ者でも、流されてしまったが故に合流が遅れることになった]
[一方でデメララ側に渡り切っていた者達は、濁流から逃げた先で唐突な浮遊感に見舞われる。
地面に大きく開いた底が見えぬような顎門。
落下の際に穴の中にあった櫓が壊れ、落ちた兵達に襲い掛かる。
落ち方によっては深刻な負傷を受ける者もいたはずだ。
比較的無事な者は、当然穴からの脱出を試みる。
垂直跳躍で届かぬ分は、穴壁に指跡をつけながら登ることになった]