[彼の言葉の真意を読めてはおらず。
具合が悪いならば気にするなと告げたけれど]
うん。――…へ、何、……っ――… 、
[「殴っても文句は言わない」
何処か切羽詰まった様子の彼の言葉に再び眸を瞬かせる刹那、
口付けられたのは、不意打ちの事だった。
生真面目な彼がこんな行動に出るなど予想外で
ごくり、喉奥押し込まれた液体を反射的に飲み込んでしまい]
――…、あ、ちょ…、え、アイリ??
[しかも、思い切り不思議顔のアイリに、キスシーンを見られていた。
何もかも予想外の出来事に「うあああああ」と荒げたい声を抑えつつ、ぱたりと閉まった扉とイェンスの顔を、交互に見遣り]
――…、……あれ、なんか喉痛いのが治ってきた。
[喉の薬だったのか、はたまた別の薬の副作用か。
解らずも、げほ、と最後に咳を零してから、イェンスへ「ありがとう」と告げておいた]