[ようやく市民達も落ち着きを取り戻してきたのか、家族が身を寄せ合って大人しく座るようになった。
侍者達が彼らに一言ずつ声をかけていき、自分の姿を確かめて落ち着く。その流れで、市民の混乱は収まりつつあった]
(これで、騎士達が来るまでどうにかなるかしら)
[騎士も全て倒され、たどり着けないかもしれない。しかし今そんな恐ろしい想像はしたくなかった。長杖を持って虚勢を張るにも限度がある。しかもこの長杖自体は聖別もなされていないただの杖だ。いざとなれば隠された銀の短剣が頼みの綱なのだ]
(どうか、襲撃が来ません様に――)
[そんな風に祈る。その祈りは通じるか*]