― 宇宙船発射場 ―[天地を繋いだ光を見た瞬間、駆け出していた。妻の元へ、孫娘らの元へ戻らねばならない。騒然とし、逃げ出す人々の流れに逆らって走る。立ち尽くす人々の間を縫うように、元の場所へ戻ろうとする。途中、うろたえも戸惑いもしていない、他の人間とは異質な空気を纏う黒衣の者とすれ違ったような気がしたが、構う暇はなかった。]