[珈琲とマカロンが運ばれた頃、見知った顔が前の席に腰掛ける。>>17
良く見知った顔だった。忘れることは無い。]
これはフォルヒャート殿。ご無沙汰しております。
警備の休憩時間でしょうか?
[笑顔で遠回しに「サボり中ですか?」と問い掛けたのも、
あえて敬語を使ったのも、懐かしい反応を見る為。
警備部のクレメンス・フォルヒャート。
そもそも管理と警備は切っても切り離せない間柄。
彼のサボリ癖は管理部の同僚、更には人事部所属の同期の友人から何度も聞いていた。
と言っても自身は彼に嫌悪感を抱いている訳でも無く、当時新米船員であった自分には器の大きさに緊張が解れていたものだが。]
連邦総会がこんなに大規模なものだったとは。
噂で聞くのと現場に居合わせるとでは全然違いますね。
これでは猫の手も借りたいと連れ戻されるのも納得でしたよ。
さぞかし警備部はお忙しいのでは?
[何しろ各星から学者や各々分野の権威が集まる会合である。
周辺を見渡せば一般客だけでなく、いかにも頭でっかちな学者や先生方の姿が少なからず視界に入る。]