っ!!
[来る!と刹那の思考の間に、獣の顔が近くにあって。>>81
咄嗟に、ギラリと光ったかにもみえたその牙を、往なすように弾くしか出来ない。
しかし反応は間に合わず、鋭い牙がナイフを持つ右腕に深々と突き刺さる。]
っ、ぁぁああああっ!!!
[熱い、そう思ったのが一瞬の出来事。
次の瞬間には、抉るように肉が持っていかれ、どくどくと血が噴き出した。
ナイフを握る手に、びりびりと雷を落としたような凶暴な痛み。
……ナイフを取りこぼさなかったのは、意地だった。
咄嗟に、数歩距離をとる。
生々しい肉が覗いている傷口を、左手で押さえ、痛みにぎりりと、歯を嚙み締めた。
でも、視線を外すことはない。]
は、っ……はっ……ようやく、本気?
[精一杯の強がりをいって笑えば、彼はどうしただろうか。**]