[外から見た風景は、また奇妙なものだったろう。
船尾に水雷を喰らい、確かに浸水、破損をしたナハティガルは、バランスを取る為に大きく舵を切った。
そして、舵を切り終わると同時に、バランスを“保った”。
そのまま、加速。速度は一切落ちていない。
反撃と己を狙った水雷艇への攻撃を行い、走る。“鉄門”へと向かう残水雷艇の前へと横切るように動く。
副砲、主砲合わせて、総射撃。
撃沈と言う最悪の“死神”を追い払い、ナハティガルはいまだ海上にあり――次の目標へと動く。
残水雷艇、そして、それが減っているなら、目標は敵巡洋艦だ。]