[兄亡きあとの“サーラ”は、誰にも必要とされなかったから。
“わたし”を望んでくれる人は、もういないから。
この先の、王位という孤独の約束されている一生>>3:286でも
冷え切った諦念と共に、そう覚悟していたのに――…。]
……分かった、わ。ごめんなさい。
“わたし”を、大事に思ってくれて――…ありがとう。
[そんな風に、喪失に“絶望”するほど、
自分が傷を負った方がいいと思えるほど、
大事だと言ってもらったら…。
じんわりと胸奥に広がるぬくもりに似た、嬉しさと切なさに。
金色の双眸を映す空色が揺れて、滲みかける。
堪えようとして、微笑んだ。]