[見知らぬその香りに絡んで、嗅いだことのある匂いもしていた。名前は、ジャンと言っただろうか。「大事な人を探している」と言っていた。シルキーという名の女性。または小さな鳥。であれば、それがこの香りの主なのかも知れない。……血の匂いこそ変わらないが、追跡の途中で微妙に体臭が変質していたが。二人は同じところに向かっていた。そのことの意味が分からない訳ではなかったが、香りの主の血を得ることに比べれば、些細なことのように思われた。]