えっとー…
できれば顔を上げて、立って喋っていただきたいんすけどー。
謝られるようなことも、されてないっすし。
…え、お金、持ってないんすか?
[へらりと柔らかい表情はその女性に見えているのかいないのか。
クリーム色の毛玉も覗き込むように肩から少し身を乗り出しているようだ。
女性はお金を持っていないらしい。それにまた内心首を傾げる。
それなりの身なりをして船に乗っているのに、お金を持っていないとはこれ如何に。
お金も持たず、次の星まで何の用だろうか?帰りの運賃はあるのだろうか?
彼女の服に着られているような佇まいと従順そうな応対、それと相まって、なんだか子供のような印象を受けた。
だからだろうか、放っておけなかったのは。]